大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和26(あ)1957 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人A外一〇名の弁護人天野末治の上告趣意第一点について。

憲法は、一方において勤労者に対して団結権、団体交渉権その他の団体行動権を

保障すると共に(第二八条)、他方においてすべての国民に対して平等権、自由権、

財産権等の基本的人権を保障しているのであつて、労働者の争議権についてのみ正

当性の限界を超えてこれが無制限な行使を是認したものではなく、寧ろ憲法はこれ

ら諸々の一般的基本的人権と労働者の権利との調和をこそ期待しているのであつて、

この調和を破らないことが、即ち争議権の正当性の限界である。このことは既に当

裁判所の判例の明示するところである(昭和二三年(れ)第一〇四九号同二五年一

一月一五日大法廷判決、集四巻一一号二二五七頁参照)そして、原判決の説示する

ところもその趣旨において何ら前記判例と異なるところがないと解せられるから、

その限りにおいて判決は何ら所論の如く憲法に違反し又は憲法の解釈を誤つたもの

ということはできない。従つて憲法二八条違反の論旨は理由がなくその余の論旨は

刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

同第二点は刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

なお、記録を調べても、刑訴四一一条を適用すべきものとは認められないから、

同四〇八条に従い裁判官全員一致の意見で主文の如く判決する。

昭和二八年三月六日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

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裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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